冷凍食品の小さな製造メーカーに勤めている私、ちゅんご。
立場的には昔でいう番頭さんでしょうか。一応、商品開発も担当しています。
自社の主力商品はマグロの加工品や無添加惣菜です。
少量多品種の商品構成なので毎日、日替わりで
いろんなものを作っています。
だから工場というよりは厨房のような加工場になっていて、
ネギトロのように一日に1万パック以上ライン生産できる商品もあれば、
惣菜など千~2千パックぐらいのものもあり、
通販誌向けの手の込んだものなどは100パックぐらいしか
生産できない商品もあります。
人手はその中でも量産しやすい商品づくりに振り分けられますので、
おせちなど自社にとってニッチな商品はちゅんごがほとんど一人でやってます。
サポートは管理栄養士で商品開発室に所属する期待の星がひとり。
彼女は大卒2年目で若いのですが、
教えたことは一度でなんでもできるようになるのです。
たとえば、ちゅんごの包丁の使い方などは普通の人とは違い、
一つの食材を100㌔でも切り続けるような
耐久力とスピードが要求される特殊な切り方を食材によって変えていますが、
彼女は一度一緒に作業すると必ず自分のものにしてしまいます。
そして、レシピには書ききれない微妙な調理のタイミングや火加減、
食材のその日の状態によって調整しなければならない塩加減など、
ドンぴしゃで身に付けていきます。
そんな彼女ですから、すでに惣菜加工のリーダーをしていますし、
入社一年目の昨年は品質保証室として世界基準の衛生管理システム
「HACCP」の定期更新の役割も担ってきました。
精神的にハングリーかつ素直で、食いしん坊でセンスがいいから、
今回、商品開発室に抜擢されたのです。
仕事は人に任せられるようになって究められるといいますが、
通常の業務はそうできても、感性を求められる仕事はそうはいきません。
人に恵まれることも大きな要因になりますね。


その微妙な感覚が要求される「おせち」の仕込みを通して、
ますます「任せられる」人になってくることでしょう。
無添加で商品づくりをしていくには、
素材の持つ旨味の引き出し方を知らなければならないし、
買っていただける価格で仕上げるための原価管理も必要です。
実際の生産ラインに乗せられる技術も身に付けなければなりません。
当然、メーカーとしての品質管理におけるノウハウや正義感を
持ち合わせななら、食材を大切にする「もったいない」の気持ちも
大切にしなければならないですね。
外部的には、食の歴史・文化・トレンド、地域資源や人脈、
世界的な食糧事情、未来予測なども味方にしていくことが求められます。
そしてなにより、自社の生きる姿勢を、モノづくりを通して表現する
自社の企業理念を腑に落とさなければならないのです。
営業部門や製造部門に任せられる人が育ってますので、
開発できる人が自立してくれれば、次の仕事にチャレンジできますね。
人が育つこと以上に嬉しいことはありません♪
