昨年の震災以来、我社では防災委員会を立ち上げ、
徳島大学環境防災センターのBCP研究部会に参加させていただいて
BCP(事業継続計画)の構築に取組んでいます。
BCPとは災害時の被害を最小限に抑えて、
短期間に事業の再開を目指すものです。
これにより人の命を守り、取引先との信頼関係を構築し
地域社会への貢献を果たしていきます。
今日は徳島県などの主催でBCPセミナーがありました。
二部構成になっています。

■ 一部は徳島大学の中野晋教授による
「南海トラフ地震の被害想定について」
BCPを構築していく中で一番のネックとなっていたのが、
【被害想定をどのレベルにするのか】ということです。
想定自体が変わると、それに続く対策そのものが変わってしまい
BCP推進の計画が頓挫してしまいます。
今日の中野教授の話では南海トラフ地震のレベルを3段階に分けて
被害想定をし、対策を講じるというのもです。
レベル① 100~150年に1回程度(マグニチュード8.4)
レベル② 200~300年に1回程度(マグニチュード8.6)
レベル③ 1000年に1回程度 (マグニチュード9.0)
設備や業務についてはレベル①
人命に関わる対策や企業の存続に関わる最重要事項についてはレベル②
今年はじめに発表された徳島県の最大津波予測や、
先ほど国から出された「現在の科学で考えられる最大の地震による津波想定」
など情報が錯乱する中で私の出した結論⇒人的と物的2段階の被害想定と
まったく同じ考え方でなにかすっきりとしました。
■ 二部は宮城県南三陸町で被災された㈱高野コンクリートの高野剛社長による
「東日本大震災における企業としての対応と現状」
高野社長は中小企業家同友会のメンバーでもありますが、
南三陸町で建設や土木・運輸・鉄工・祭事会館などを経営されています。
震災直後の初動対応や翌日以降に社員さんの安否を気遣い、
瓦礫の山を乗越えて各事業所へ向う道中に目にした悲惨な光景を
話されるときには涙で声にならないほどでした。
大切な人を多く失った体験がフラッシュバックしてきたのだと…
聞いている私達も涙なしではいられません。
屋上まで津波が押し寄せた高野会館では日頃の訓練が功を奏し
社員さんとお客様の327名全員が助かりました。
隣の志津川病院では70名以上の人がなくなられました。
そして唯一無事だったタカノ鐵工で社員さんや地域の人と共に
50日間も避難生活を送られたそうです。
壮絶な体験の中から伝えていただいたことは、
①日頃の訓練とBCPが命を救う
②命があれば、社員さんがいれば再起できる
③地震保険には入っておく
④中小企業のネットワークが地域を支える
現在、高野社長は全ての事業を再開されているとのこと。
中小企業家同友会との関わりで、理念経営を推進され、
社員さんを大切にして共に学び、危機管理を構築して
地域貢献を推進されてきたことが
早期の事業再開につながったのだと感じました。
いい学びとなりました。ありがとうございます。
